NEWS
季節の変わり目と気管支喘息
今年の梅雨は短く、6月下旬にも梅雨明けの予想となっています。季節の変わり目である梅雨の時期や台風の季節となる夏は気温や気圧、湿度の変動が大きく、気管支喘息の喘息発作が多くなる傾向があります。
湿度が高くなると空中に浮遊するカビ、そのカビをエサとするダニも増えていきます。それらを吸い込むことで喘息がより酷くなってしまい、また湿度、気圧により息苦しさをより感じやすくなります。
また、喘息の咳は一日中続くものではなく、深夜や早朝とある程度決まった時間帯に悪化することが多く、症状の出かたに波があるのが特徴です。昨今では、同じような咳症状が出る疾患に新型コロナ感染症がありますが、ワクチン接種により高熱や倦怠感を発症しない場合も多くなっており、喘息との違いが分かりづらくなっています。
長く咳が続いているときや、すでに気管支喘息の治療をしているけれど喘息発作が起こった際の吸入薬や内服薬を使用しても苦しくて眠れない、苦しくて動けないなど喘息発作が強く出ている場合は躊躇せず病院受診をしましょう。
<気管支喘息とは>
気管支喘息は主に気管支に炎症が起きている状態です。 炎症がおこっている気道はとても敏感になっており、ホコリやタバコ、ストレスなどのわずかな刺激でも狭くなり、発作がおきてしまいます。
<気管支喘息の症状>
気管支喘息の症状は咳や痰、息苦しさや「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴などがあります。また、胸の痛みやのどに感じる違和感なども喘息の症状のひとつです。
喘息の発作は次のようなときに起こりやすい傾向があります。
・ 夜間〜早朝
・ 季節の変わり⽬、気温差がはげしいとき
・ 曇りや雨、台風など、天気が変わりやすいとき
・ 疲れているときや⾵邪をひいたとき
・ 発作を引き起こす刺激に触れたとき(タバコの煙、強い臭いなど)
<主な気管支喘息の検査>
呼吸機能検査(スパイロメトリー)・フローボリューム曲線
息を思いっきり吸ったときの肺活量(努力性肺活量)、吐き始めてから吐き終わるまでの時間と力いっぱい吐き出したときのの息の強さ(速さ)を測定します。喘息の方の場合、気道がせまくなり、痰がからんでいて息を吐くスピードが遅くなります。
血液検査
どのアレルゲンに対してアレルギー反応が起こりやすいかを確認する検査です。採血した血液とアレルゲンを反応させて、アレルゲンに対する抗体(特異的IgE抗体)が検出されるかどうかをみます。MAST法では一回に36種類ものアレルギーについての検査ができます。
胸部レントゲン検査
喘息と同じような症状を持つ他の呼吸器疾患との判別や、肺炎などの合併症を知るために行う検査です。
その他の検査
心電図検査や心エコー検査、胸部CT検査などを行います。
<喘息の治療>
現代では喘息を根本的に治療する薬はありません。気管支喘息の治療目標は適切な治療薬を継続して使用することで「発作がおこらない状態を長期間続けること」となります。
気管支の炎症を抑える治療を毎日続けることで、徐々に咳が出なくなり、夜よく眠れるようになりますが、少しよくなったからといってすぐに薬をやめてはいけません。気道の炎症が再び悪化し、またすぐに発作がおきてしまいます。自分の判断で薬をやめずに、きちんと治療を続けましょう。